生放送「この稲 誰が植えますか?」

次回の放送は令和8年4月12日 10:00からです

番組の趣旨

現在、日本の食糧自給率は低い状態が続いており、世界的な気候変動や自然災害、各地での紛争などによって安定的な食糧の確保が難しくなるリスクを抱えています。更には2024年以降は、店頭から米が売り切れたり、価格が大幅に上がったりと、主食である米を取り巻く状況が大きく変わってきました。そのような中で、常に安全で充分な食糧が得られる「食糧安全保障」への関心が高まっています。

そこで、今回のシリーズでは、農業とも関わりの深い食糧安全保障について、日本の現状と将来を見据えた課題や可能性について考えてみたいと思います。

食糧安全保障とは、すべての人々が常に充分な食糧を安定的に確保できる状態を意味し、フードセキュリティとも言われています。ウクライナ情勢の影響による小麦等輸入材料の値上がり、令和の米騒動と呼ばれる米価格の高騰などもあり、国民の食糧安全保障への関心も高まりました。

食糧安全保障の実現には、自給率向上や輸入の安定確保、備蓄制度といった国の政策も深く関わります。日本では、食糧安全保障は国家の安定や国民生活の基本を支える重要な政策分野として位置づけられ、拠り所となる法令として、1999年に施行された「食糧・農業・農村基本法」があります。

また、2025年現在、米の価格高騰や流通不足の対策として注目された「備蓄米」については、1995年施行の「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」によって定められています。

ところが、政府が食糧安全保障を重視する一方で、日本の自給率は低く、2024年度のカロリーベースで38%にとどまっています。食糧の多くを輸入に依存しているため、国際情勢の変化や災害の発生による食糧供給へのリスクが高い状態が続いているのです。そのため、自給率の向上や農業生産の維持・強化が急務の課題となっています。

しかし、米を中心とする様々な農業政策とはうらはらに、農業を主な仕事としている基幹的農業従事者は年々減少傾向にあり、日本の農業生産力の低下につながっています。また、国内の農業従事者の平均年齢は高く65歳以上が70%を占め、世代交代や若者世代の農業への参入はあまり進んでいないのが現状です。農業の廃業や耕作放棄地の増加は、生産基盤の弱体化を招きます。その一方で、農作業の効率化も大きな課題となっているのです。

この食糧安全保障の問題を考える時、いつも頭に浮かぶのが、ウクライナの民話の『小さな白いニワトリ』という話です。子供の頃に読んだ話ですが、今でも不思議と頭から離れません。

ある日、小さな白いニワトリが皆に向かって言いました。「この麦、誰が蒔きますか?」皆は「イヤだ」と言いました。小さな白いニワトリは、ひとりで麦を蒔きました。小さな白いニワトリが皆に向かって言いました。「この麦、誰が刈りますか?」皆は「イヤだ」と言いました。小さな白いニワトリは、ひとりで麦を刈りました。小さな白いニワトリが皆に向かって言いました。「誰が粉に挽きますか?」皆は「イヤだ」と言いました。小さな白いニワトリは、ひとりで粉を挽きました。小さな白いニワトリが皆に向かって言いました。「誰がパンに焼きますか?」皆は「イヤだ」と言いました。小さな白いニワトリは、ひとりでパンを焼きました。小さな白いニワトリが皆に向かって言いました。「このパン、誰が食べますか?」皆は「食べる」と言いました。

さて、小さな白いニワトリは、皆に何と言ったのでしょうか?…。

そこで、今回のシリーズでは、『「食糧安全保障」~誰が農業を担うのか?』をテーマに、視聴者の皆様と、将来の食卓を守るためにできること、小さな白いニワトリは何と答えたのかを考えて参りたいと思います。

もっと見る

閉じる

現在のシリーズのアーカイブ

お問い合わせお問合せ