生放送「季節の行事にみる日本人の習俗」
次回の放送は令和8年7月5日 10:00からです
番組の趣旨
仏教が、日本に伝わってきたのは6世紀の半ばです。それから、もう1500年も経ちました。その間に、仏教は日本人の生活の中に溶け込み、神道と仏教が見事に融合しました。
そこで、今回は、日本人の宗教である神道と仏教が、私たちの日常生活の中でどのように生きているのか、あるいは、どのようなことを教えてくれているのかを、四季折々の行事から考えてみたいと思います。
神道とは「惟神の道」(かんながらのみち)、私たちは神さまと一緒に生きていく、ということです。例えば、「神人共食(しんじんきょうしょく)と言って、お正月には神さまと人間が一緒に食事をします。そのように神さまと私たちが一緒に生活する、それが大事なのです。Way Of Life(ウェイ・オブ・ライフ)と言いますが、そうした生活習慣が神道だと思っていただきたいと思います。
では神道とは「宗教」なのでしょうか。実は、仏教が入ってきて初めて、日本には「神道」があると認識されたのです。外来の思想が入ってくることで、それまでご先祖さまから代々受け継いできた生き方というものに気づき、それを「神道」と名づけたのです。だから神道には「教義」も何もありません。
次の段階になると、仏教がどんどん日本化、神道化されていきます。外来思想である仏教が、日本人の生活らしくなっていくのです。もう神道も仏教も差がなくなるわけです。逆に言うと、神道は「習俗」になりきってしまい、休眠状態に入ります。
仏教の日本化、神道化には、平安時代の伝教大師・最澄、弘法大師・空海が貢献しました。そして、平安末期に浄土宗を開いた法然上人なども、やはり仏教を民衆化しよう、民衆のための救いの仏教としようという形で説法したのです。さらに鎌倉時代になると、親鸞聖人、日蓮聖人などが出てきて、どんどん仏教を日本化していくのです。
仏教を日本化する、とは、日本人の生活に根づいた宗教にすることです。そして江戸時代になると、幕府がキリシタンを弾圧するために檀家制度を設け、日本人をみんな仏教の信者にしてしまうのです。仏教の寺院には「宗門人別帳」を発行させます。私はキリスト教を信じていません、キリシタンではありませんという証明書です。この証明書がないことにはキリシタンの間違えられ、弾圧を受けるわけですから、仏教寺院の信徒になりなさい、と強制されるのです。
日本人であれば、みな仏教の信者ということになってしまうわけです。神道の信者と違いがなくなります。そうすると仏教は「習俗」になります。習俗とは、生活の中の宗教です。具体的に云えば、結婚式やお葬式が習俗です。こうした、宗教とは関係ないものを、仏教が扱うようになってしまいます。このようにして仏教は日本に定着しました。思想的には、平安末期から鎌倉初期は素晴らしい仏教思想の発展と捉えることが出来ますが、一方で習俗と変わりないものになって仏教らしさが失われてしまったとも言えます。それが日本の仏教、そして神道の歴史の概略だと思っていただきたいのです。
そこで、今回は『日本人の神さま仏さま』と題して、季節折々の行事にみる日本人の習俗を通して、生活の中から、神さまや仏さまと一緒に人生という旅を歩んでいる日本人にとっての神道、仏教について、視聴者の皆様と共に考えてまいりたいと思います。
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